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2016年3月15日、16日のテレビ朝日 報道ステーションで放送されたイチロー選手と稲葉篤紀さんの対談が非常に興味深く、タメになったので一部を紹介したいと思う。
イチローは高校2年生の春から97年くらいまでイップスだった
イップスとは精神的要因で思い通りにプレーできなくなる症状だが、今回の対談でイチロー選手は高校2年生の春から97年頃までイップスにかかってボールがうまく投げられなくなっていたことを明かした。
イップスの原因は「上下関係のプレッシャー」によるものだという。
イチロー選手は自身の高校時代の上下関係を「1年生はゴミ」「2年生は人間」「3年生は神様」と独特の表現で例え、1年生当時ピッチャーだったイチロー選手が3年生にボールを投げることのプレッシャーについて
「ゴミが神様に投げるわけですから、それはもう大変なものですよ」
と語った。
イップスは96年のオリックス日本一のときも続いていたそうで
「(投球については)一番の野球人生のスランプでしたね」
と振り返った。
ちなみにこの年、イチローはシーズン打率3割5分6厘、193安打、16本塁打を記録しMVPを獲得している。(NPB個人年度別成績 / プロ野球セ・パ 歴代MVP)
高校の2年半が支えになっている
イチロー選手はイップスで苦しんだ高校時代を振り返って
「でも支えになってますけどね、あの2年半は」
「あんなしんどいことないですもん」
「何やったって天国みたいなもんですよ」
と、しみじみ語った。
さらに、
「しんどい思いはどこかでしておくべきですよね 早い段階で」
とも話した。
- 過去に何かに苦しんだ経験がある方は共感できる部分があるのではないだろうか。
- ちなみに筆者はイチロー選手の足元にも到底及ばないが、曲がりなりにも小学4年生から高校を卒業するまで運動部に所属していた。
とくに高校時代の部活動では毎日地獄のように走らされ、あまりの過酷さで入部時は学年で30人以上いたはずの部員が引退時には半分以下の14名ほどになっていた。
どのくらい過酷だったかと言えば、もともと長距離走が大の苦手だったはずの筆者が校内マラソン大会で陸上部の選手に負けず劣らずの記録を出すまでになったほどだ。
今の筆者は間違いなくあのときの経験がなければ存在しないと思うし、忍耐強さは部活で身についたと本気で思っている。
社会人になって色々なことがあったが、やはり高校時代の部活動の辛さを超えたことは一度すらない。逆に、あの経験がなければ社会人になってからの様々な出来事に耐えられなかったのではないかとさえ思う。
だからイチロー選手が言うように筆者も「しんどい思いは早い段階でどこかでしておくべき」だと確信している。
遠回りすることが一番近道
以前から筆者はイチロー選手の下記の名言がとても気に入っている。
時間をかけて努力しなくては結果は生まれないものだけど、でも、もし誰かかがプロセス抜きで結果だけ得られたとしても、最終的にはその人には何も残らないと思う ─ イチロー
— イチロー (@Ichiro_Meigen) 2014年1月12日
これについては今回の対談でも同じことを語っていた。
稲葉さんが
「トレーニングで身体を大きくするのが流行っている」
という話をすると、イチロー選手は
「持って生まれたバランスを崩してはダメ」
「トラとかライオンはウエイトしないですからね」
「(ウエイト後の)春先にスイングスピードが落ちる」
と自身の失敗した経験に基づいた独自の理論で身体を大きくすることを否定した。
それに対して稲葉さんが
「でも、最短で行ける可能性もあるじゃない」
と話すと、すぐさまイチロー選手は
「無理だと思います」
ときっぱり言い切り、続いてこう言い放った。
「失敗をしないでたどり着いたところと、全くミスなしでそこにたどり着いたとしても、深みは出ないですよ」
「単純に野球選手としての作品が良いものになる可能性はあったとしても、やっぱり遠回りすることってすごい大事ですよ」
「合理的な考え方ってすごく嫌いです」
「僕は遠回りすることが一番近道だと信じてやってますけどね」
と。
この話は何も野球選手のウエイトトレーニングだけでなく様々なことに応用できるのではないだろうか。
あらゆる情報がいとも簡単に手に入る今の時代において、誰しもが合理的なやり方で最短ルートを求めてしまいがちだ。
しかし、もし仮に最短距離で目的の場所にたどり着けたとしても、そこに人間としての深みは出ないということを心に留めておくべきだろう。
最後に、記事ではイチロー選手の話が多くなってしまったが対談からは稲葉さんの素晴らしい人柄が随所に滲み出ており非常に好感が持てた。
本当にタメになる2夜連続の素晴らしい対談だった!
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